こんにちは。
たなーです。
梅雨も終わり、夏になりましたね。
TwitterやInstagramなどSNSでは、続々と家庭菜園での夏野菜の収穫を楽しんでいる様子がうかがえます。
しかし、野菜やハーブなどを育てるうえで避けられないのが病害虫の被害。。。
きゅうりの葉が斑点細菌病になりました🥲
— グンマー@なっから家庭菜園🔰🔰🔰 (@nakkara_gunma) July 4, 2022
⚠️斑点細菌病⚠️
細菌(バクテリア)による病気。前年に発病した場所に枯葉が土に残っているとそのまま土中で越冬し、翌に定植した苗に雨水などの跳ね返りによって下葉に付着し気孔や傷口などから侵入するとのこと。#家庭菜園 #家庭菜園初心者 pic.twitter.com/iOyAx3bwMF
せっかく愛情もって育てていた野菜やハーブが病害虫の被害に合うと、すっっごい悲しくなりますよね。。
家庭菜園だからこそ、オーガニック栽培したくて化学農薬は使いたくなんだけど、どうすれば。。。?
小さな子供や、ワンちゃん猫ちゃんがいるから、農薬はちょっと。。。
そんな方には、オーガニック栽培でも使えるおすすめの天然成分自然派農薬がおすすめ。
というわけで、
この記事を読むことで以下のことがわかります。
それでは順を追ってお話しします。
オーガニック栽培におすすめ自然派農薬とは
そもそも農薬は有効成分によって、「化学合成農薬」「自然派農薬」の2種類があることをご存じでしょうか?
結論として簡単に言うとオーガニック栽培に使える自然派農薬とは、有機JAS規格でオーガニック(有機農産物)栽培に使用可能な農薬のことをさします。
農林水産省が国際連合食糧農業機関(FAO)および世界保健機構(WHO)のガイドラインに準拠して決めているんですよ。
環境に有害な影響を及ぼさず、かつ人や動物の健康と生活の質への悪影響が最も低いことを満たす、人と環境に優しい農薬を自然派農薬としています。
実は、自然派農薬は種類がたくさん。
化学合成農薬と比べて成分は分解されやすい特徴があります。
使用回数に制限がなく、野菜類の収穫前日まで使うことができるものが多く、環境や人に優しい成分です。
そしたら、薬液を濃く作ってたくさん散布すれば安心なのかな。。
いくら環境や人に優しい自然派と言えど、その考え方は危険です。
自然派農薬であれ、化学合成農薬であれ、人体に有害かどうかは、その成分が本来持つ毒性と摂取量に関係します。
つまり、どんなに健康に良いからと言って摂取しすぎれば毒にもなるように、どんな農薬も正しく使用しなければ安全ではありません。
抗酸化力の強いフラノンやメラノメイジンを多く含む醤油は、大豆や塩から作られます。
その醤油を一度に大量に飲んだら命にかかわります。
植物を育てるにあたって、人と同じように考えると良いでしょう。
逆に言えば、国に登録を受けた農薬であれば正しく使用する限りは安全なのです。
「天然成分だから~」「オーガニックだから~」と安易に鵜呑みせずに、使用上の注意や使用方法の書かれたラベルをきちんと読んで、記載されている使い方をすることが重要なポイントになります。
さて、自然派農薬と農薬を使用する場合においての考え方と使い方の注意点をお話しさせていただきましたが、以降からはたなーがおすすめする自然派農薬の効果、使い方、対象病害虫を含めて紹介です。
おすすめ自然派農薬(殺虫殺菌剤):ベニカマイルドスプレー、アーリーセーフ
ベニカマイルドスプレーの有効成分は還元水あめ(還元でんぷん加糖物)。
有効成分はヤシ油(脂肪酸グリセリド)。
有効成分だけ言われても。。。。
そうですよね。詳しい使い方と効果はこれからご説明します。
ちなみにこの2つの自然派農薬は、どちらも害虫の気門(呼吸をするところ)を封鎖して退治し、特定の病気にも効果がある殺虫殺菌剤です。
効果
有効成分が害虫の体を覆い、気門を封鎖して窒息させて退治します。
害虫を薬液で包んで物理的に窒息させるという意味で、物理的防除剤とも言うんですよ。
病気については、胞子の発芽や菌糸の伸長を阻害して防除します。
自然派農薬の中でも比較的速効性がある方でしょう。
とはいえ、化学合成農薬ほどの即効性はありません。。
使い方
薬液で包んで退治するので、害虫にしっかりと散布しないと効果がありません。
散布が不十分だったり、かけムラがあったりすると、退治できずに残った害虫が繁殖してしまいます。
害虫が動かなくなるまでたっぷりとかけることが重要です。
アブラムシのように重なり合い群生するほど大発生すると、個々の害虫を薬液で包むことが難しくなります。
その場合、効果が期待できませんので、害虫が少ない発生初期に的確に散布することがポイントです。
この2つの自然派農薬は、物理的防除剤ということもあり効果の持続性はありません。
日頃の観察を行いながら、5日間くらいの間隔で定期的に散布すると良いでしょう。
主な対象病害虫
〇アブラムシ
〇ハダニ
〇コナジラミ
〇うどん粉病
おすすめ自然派農薬(殺虫剤):パイベニカVスプレー
有効成分は、除虫菊(ピレトリン)。
効果
有効成分が害虫に接触することで退治が可能。
自然派農薬の中では、最も速効的に作用すると思います。
たなーが園芸店時代には、よく使っていた自然派農薬の一つです。
アオムシやケムシはもちろん、甲虫類のテントウムシダマシにも効果的なのはうれしいですね。
食品や天然成分系の物理的防除剤では使用感が感じられない方におすすめ。
散布後は光や熱で水や二酸化炭素などに分解されるので安心です。
使い方
効果の持続性はないので、日頃の観察の時に害虫を見つけたら直接散布してください。
葉全体にいる場合は、植物全体にまんべんなくかけて葉先から薬液が滴るくらいがちょうど良いでしょう。
主な対象害虫
〇アオムシ
〇ケムシ
〇テントウムシダマシ
〇アブラムシ
〇ハダニ
〇コナジラミ
おすすめ自然派農薬(殺虫剤):STゼンターリ顆粒水和剤
有効成分はBT(バチルス・チューリンゲンシス)。
ば、ばち、ばつりす。。。?
バチルス・チューリンゲンシスは土壌中で生活している細菌のことで、自然界に広く分布しています。このBTの細胞を利用した自然派農薬ことをBT剤と呼びます。BTは芽胞形成時の菌体中に結晶性の殺虫性たんぱくを作り、蝶や蛾の幼虫が葉と一緒にこのたんぱくを食べることによって殺虫されてしまいます。詳しく話すと頭が痛くなるでしょうから、この辺で(笑)
効果
アオムシ、ヨトウムシ、ケムシ、ネキリムシなど蝶や蛾の幼虫の消化液はアルカリ性です。
人間やワンちゃん、猫ちゃんたち動物とは構造から全く違うってご存じでしたか?
驚きですよね。
この自然派農薬はそのアルカリと反応して殺虫効果が現れます。
幼虫が作物と共に有効成分であるBTを食べると、消化管の細胞が破壊されて麻痺。
それ以上摂食行動ができなくなり、衰弱して退治が可能になるわけです。
効果を聞くだけで、効き目がある感じがしますね。
実際にたなーも使っていましたが、チョウ目の幼虫類には効果抜群だと思っています。
そんなに効き目があったら、人やワンちゃん、猫ちゃんに大丈夫なの?
と心配になるかもしれませんが大丈夫です。
人や動物の腸には幼虫特有の細胞組織はないので、たとえ食べても体への影響は全くなく、そのまま体外へ排泄されます。
農業生産において世界的に有名なエコ農薬として使用されているので、安心してくださいね。
使い方
蝶や蛾の幼虫が発生しやすい、キャベツやダイコンなどのアブラナ科植物全般におすすめです。
散布すると直ちに食害は止まりますが、害虫は2~3日は生きており完全に動かなくなるまでは数日かかりますので、その点は注意してください。
効いていないわけではありませんよ。
葉にまんべんなく散布して、葉先から薬液が滴るくらいがちょうどよいです。
主な対象害虫
〇アオムシ
〇ヨトウムシ
〇ネキリムシ
〇タバコガ
〇ケムシ
〇ハマキムシ
おすすめ自然派農薬(殺菌剤):カリグリーン
有効成分は炭酸水素カリウム(食品添加物)。
効果
大量のカリウムイオンが病原菌の中に入って細胞内のイオンバランスを崩します。
結果的に、細胞は機能障害を起こして病原菌は死滅してしまうんですよ。
使い方
病気の治療効果はありますが、予防効果はありません。
日頃の観察を行い発生初期に散布することが大切です。
植物全体にまんべんなく散布して、葉先から滴るくらいがちょうど良いでしょう。
主な対象病害
〇うどん粉病
〇灰色カビ病
〇さび病
〇葉かび病
おすすめ自然派農薬(殺菌剤):サンボルドー
有効成分は塩基性塩化銅(天然成分)。
効果
病原菌の酵素を阻害して死滅させます。
使い方
治療効果はないので、病気の発生前にあらかじめ作物全体に散布して病原菌の予防に努めましょう。
散布してからの効果持続が長く、各種病原菌に対して代表的な保護殺菌剤です。
発生してからではなく、あらかじめ散布しておきましょう。
植物全体に散布して、葉先から滴るくらいがちょうどよいです。
主な対象病害
〇べと病
〇疫病
〇斑点細菌病
おすすめ自然派農薬(殺菌剤):レンテミン液剤
有効成分はシイタケエキス。
効果
植物全体を有効成分で覆うことで、ウイルスの侵入を防いで感染を防止します。
使い方
移植や脇芽摘みなどの作業前に水で10倍に薄めて植物全体に散布。
ウイルス感染の予防として使用しましょう。
原液にハサミや刃、手指を付けることで消毒効果もあります。
主な対象病害と使用目的
〇モザイク病感染防止
〇手指やハサミなどの器具消毒
まとめ
最後に
いかがでしょうか?
今回は、自然派農薬についてお話しさせていただきました。
せっかくの家庭菜園、化学合成農薬を使わずに育てたいと思っている方も多いことでしょう。
でも、自然派農薬を使ってみると効いてるのか効いてないのかわからない。
実感がわかない。。。
と思った方は多いはずです。
自然派農薬は、化学合成農薬に比べて即効性がありません。
薬を撒いても、その場でコロッと害虫退治という訳ではないのです。
さらに、効果や使い方のコツをしっかり理解して散布することが重要になります。
でなければ、本当は効果が出ているのに効果がなかったとあきらめて、化学合成農薬を使用してしまうからです。
化学合成農薬が悪いとは、たなーは思いません。
適切に使用すれば、安全で効果的だからです。
ただ、せっかく家庭菜園で野菜やハーブを楽しむなら、オーガニックを楽しんでみるのも食育の醍醐味の1つだと思います。
重要なことなので、もう一度お話ししますが、
天然成分の農薬は、効果と使い方のコツを理解して、しっかり散布しないと効果が得られません。
散布が不十分だったり、かけムラがあると、退治されずに残った虫が繁殖するので注意しましょう。
農薬によっては、展着剤を併用すると良いですよ。
農薬をかけても着きが悪い場合、数滴加えるだけで害虫や植物に薬剤が留まりやすくなります。
それでは、オーガニックな野菜を育てて良きグリーンライフを過ごしましょう。
オーガニック種子が気になる方はこちら。
自然派農薬だけでなく、化学合成農薬も気になる方はこちらも参考に。
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