こんにちは。
たなーです。
前回、秋植え球根のサフランについてご紹介させていただきました。
ところで、サフランと同時期に花屋さんで販売されるコルチカムという球根はご存じでしょうか?
コルチカムはサフラン同様に秋植え球根であり、土がなくても花が咲く特徴がある人気の植物です。
この記事を読むことで以下のことがわかります。
コルチカムの基本データ
植物名 | コルチカム |
学名 | Colchicum |
科/属 | イヌサフラン科イヌサフラン属(ユリ科に分類されることも) |
英名 | Meadrow saffron (Autumn crocus とも) |
別名 | イヌサフラン、オータムリリー |
原産地 | 欧州、中東、北アフリカ、中央アジア |
開花期 | 9月中旬~10月(品種によって冬咲き、春咲きも) |
花色 | ピンク、紫、白、黄色 |
コルチカムは、同時期に販売されるサフランと似たような花が咲きます。
そのため、英名ではMeadrow saffron(牧場のサフラン)と呼ばれたり別名でイヌサフランとも呼ばれていたりするんですよ。
しかし、サフランはアヤメ科の植物であり、コルチカムはイヌサフラン科(ユリ科)に分類されるため、植物としては全く違うものになります。
さらに、コルチカムは全草(球根や葉などすべての植物器官)に毒性を持っているので、注意が必要。

コルチカムの毒性については、後ほどお話ししますのでお楽しみに。

サフランの仲間じゃないことは分かったけど、別名のイヌサフランの「イヌ」って何??
実は、この「イヌ」はワンちゃんの犬という意味ではありません。
植物名における「イヌ」というのは、多くの場合「有用な植物と似ているが役に立たない」という意味として使用されています。
イヌサフランは、ハーブやスパイスであるサフランに花が似ているが、毒性があり役に立たないという意味なのでしょう。
イヌサフラン以外にも
〇イヌザンショウ
〇イヌエンジュ
〇イヌビワ
〇イヌガシ など
たくさんの「イヌ」が付く植物があります。

昔は役に立たなかったのかもしれませんが、現在では見直されて様々なことに活用されている植物もたくさんあります。
さて、植物のちょっとしたトリビアはさておき、気になる育て方についてお話しします。
コルチカムの育て方
コルチカムは、サフラン同様に1年限りでよければ土に植えずに、明るい室内に置いておくだけで花が咲きます。
そのため、可愛いカゴやガラスなどの雑貨と合わせて、インテリアのようにお部屋に飾ることも可能です。
毎年、花を咲かせたい方や植えっぱなしで育てたい方は、ぜひ以下の育て方を参考にしてみてくださいね。
それでは、順を追ってお話しします。
日当たりと置き場所
コルチカムは日当たりと風通しが良い場所を好みます。
生育期の2~6月には葉が茂げるので、初めて見た方は驚くことでしょう。
地植えの場合、開花後に花を摘み取ったら何も残らないので、コルチカムを植えていることを忘れないようにネームプレートを挿しておくなど工夫が必要です。
用土
コルチカムは有機質に富んだ水はけの良い土を好みます。
特に植えっぱなしで育てたい方は、水はけに注意してください。
市販のお花用の土で問題なく育ちますが、水はけが悪いようでしたら小粒の軽石やベラボンを1割くらい混ぜ込むと良いでしょう。
地植えの場合は、腐葉土などの堆肥や小粒の軽石、ベラボンなどをすき込んで、土壌改良して水はけがよくなる工夫が必要です。



紹介している培養土でなくても問題ありませんが、あまりに安い園芸用土は排水、保肥、通気、発酵など様々な点からおすすめできません。ベラボンについては下記のリンクを参考に。
肥料
土に植えるときに、緩効性肥料を土に規定量混ぜ込みましょう。
その後は、生育期の3~4月のタイミングでカリの多い肥料を与えてください。
カリは、球根を大きくする栄養素なので球根植物には非常に重要です。
掘りださずに植えっぱなしにする場合は、開花期の8~9月にリン酸の多い肥料を与えると花付きが良くなります。



元肥としては殺虫成分効果もあるマグァンプDがおすすめ。微粉ハイポネックスはカリ分が多いので球根を太らせる液肥として便利。ステックタイプが使いやすいですよ。花を咲かせたい時にはリン酸重視のトップクオリティ開花促進がおすすめ。花を咲かせたいって時には使いましょう。
水やり
基本的には土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れるくらいにしっかり水やりします。
ただし、コルチカムは多湿を嫌うので、受け皿に水を溜めておくと球根が腐りやすくなるので注意が必要です。
溜まった水はこまめに捨てましょう。
地植えの場合は、自然の雨に任せておけば問題ないので、植えっぱなしで大丈夫です。
コルチカムを土に植えずに、1年限りとして楽しむ場合は水も必要ありませんが、球根に蓄えられた栄養が使用されます。
さらに、空気の乾燥もあって球根がしわしわになりやすいです。
そのような状態が気になる場合は、球根に霧吹きをすることでしわしわになりにくいでしょう。
おすすめの霧吹きはこちら。
掘り上げずに植えっぱなしにする場合は、休眠期の梅雨以降は鉢植え地植えともに水やりは不要です。
鉢植えは、雨の当たらない風通しの良い場所に移動させて下さい。
植え付け・植え替え
コルチカムの品種によりますが、球根は7~10㎝と大きいです。
そのため、4号(直径12㎝)5号(直径15㎝)の鉢に1つの球根を植えます。
球根1つ分の深さに植えて、球根の先端が地表と同じ高さになるようにしましょう。
地植えの場合は、球根1.5個分の深さに植えて、球根2つ分の間隔を取ります。
コルチカムの葉は意外と茂るので、間隔は広めにとっておくと良いでしょう。
植える深さは、鉢植えよりも気持ち深いくらいです。
球根を購入して、すぐに植えずに花を咲かせた後に土に植える場合は、遅くとも10月下旬までには植え付けてください。
開花後、暖かいうちに土の中に根を張らせないと、来年以降の生育が悪くなります。
掘り起さずに植えっぱなしにする場合でも、植え替えは必要です。
鉢植えの場合は2~3年に1回、地植えの場合は3~4年に1回、8~9月に植え替えます。
コルチカムは球根植物なので、親球根に子供球根が付いて増えていきます。

分球と言います。
コルチカムの場合は、1つの親球根に2個の子供球根が付いて次第に親球根はなくなってしまいます。
そのまま、球根の増殖スピードはそこまで早くないですが、2~3年すると鉢植えの中では球根が増えてしまって生育に悪影響です。
そのため、そのタイミングで1回り大きな鉢に植えたり手で増えた球根を分けて植えたりする必要があります。
地植えも同様です。
掘り上げ
植えっぱなしにせずに毎年掘り上げる場合や、植え替えの時に掘り上げる場合は、梅雨前に行います。
目安としては、葉がだらしなく垂れてきて全体的に黄色くなってきた頃です。
その年の気温などによって、全体的に黄色くなってなくても梅雨に入る前に掘りだすことが重要なポイント。
掘りだすときには、あらかじめ水やりをせずに土を乾かしておくと掘りだしやすいですよ。
掘りだした球根は、茎などを取り除き風通しの良い日陰でしっかり乾かします。
その後、風通しの良いネットなどの袋に入れて冷暗所で保存してください。
この時に、乾かし方が不十分だと保存中に腐る恐れがあるので注意が必要です。
そして8~9月になったら、再び土に植えたり室内に飾って花を咲かせたりしてください。
コルチカムは5㎝以上の大きさがあれば花が咲きます。
5㎝以下のものは、土に植えて来年用に育てるなどすると良いでしょう。
病害虫
コルチカムには毒性があるので、害虫の発生は特に少ないが、その中でも発生が考えられるものを紹介します。
5~7月の高温時にネダニが発生することがあります。
肉眼では見えないほど小さな害虫です。
ダニという名前がついていますが、正確にはクモの仲間で球根の根を食害します。
梅雨前に掘り起してきれいに水洗いして乾燥させれば、被害はなくなるので安心してください。
もし生育期の5月に葉の育ち方が悪い場合は、鉢植えで植えっぱなしにする予定でも梅雨前に一度掘り上げて水洗いして日陰で乾燥させるほうが良いでしょう。
病気としては白絹病や軟腐病が発生することがあります。
白絹病はカビなどの病原気が原因で発生する病気です。
株元や土の表面に白い絹糸の塊みたいなものが発生します。
そのままにしておくと、株元や茎が腐って枯れるので注意が必要です。
この病気は一度発生すると治療は難しいので、発生した株や土は取り除きましょう。
この菌は、地表面でしか生きられないので、天地返しといって地表面の土と地中の土を入れ替えるようにすると増殖を防ぐことができます。
5月~10月の高温期に発生しやすく、発生した場合はほかの植物にも病気が土を通して感染します。
土は黒い袋などに入れて直射日光に当てて高温消毒を行うか、お薬を使って対処します。
軟腐病は球根が溶けるように腐り、悪臭を放つ病気です。
高温多湿や肥料のやりすぎなどが原因で発生します。
特に窒素分の多い肥料を与えすぎると、球根類は軟腐病になりやすいので気を付けてください。
そのため、土に混ぜる元肥は少なめにし、開花後や生育期の肥料はカリ分の多い液肥で補うのがおすすめです。
軟腐病は細菌性の病気です。
カビが原因ではなく細菌が原因の場合はお薬が効きにくいので、発見次第取り除いて処分した方が良いでしょう。

どちらも白絹病に効果のある殺菌剤ですが、適用植物が違うので使用する前に確認しましょう。
夏越し
コルチカムは高温多湿を嫌います。
そのため、梅雨前に掘り上げて風通しの良い日陰や冷暗所で保存して、秋に植え付けるのが最も夏に枯らしにくい方法です。
植えっぱなしで育てたい場合は、いかに高温多湿を経験させないかがポイントになります。
鉢植えの場合は、雨の当たらない風通しの良い日陰に移動して、水をやらないようにすることがポイント。
地植えの場合は、植え付け前に土壌改良で水はけを良くしておくことがポイントです。
地植えでの植えっぱなしは、九州などの温暖地では成功率が低く、関東以北の寒冷地ほど成功率が高くなります。
冬越し
コルチカムは寒さには非常に強いので、基本的には何もしないで冬越しが可能です。
ただし、土が凍結するほどの寒さの場合は、植えている場所に腐葉土や藁をかぶせるなどの工夫が必要になります。
鉢植えは、寒風を避けたり室内に移動したり球根が凍結しないように気を付けてください。
コルチカムの毒性について
コルチカムには、全草にアルカロイド系のコルヒチンという毒性を持っています。
コルヒチンは口にすると嘔吐下痢などの中毒症状を引き起こし、最悪命の危険もある危険な毒です。
コルチカムの鱗茎はジャガイモやニンニク、玉ねぎに間違われることもあります。
最も間違われやすいのは、高級山野草のギョウシャニンニクです。
コルチカムの芽吹いたばかりの葉がギョウシャニンニクの葉に似ており、ギョウシャニンニクも家庭菜園で育てることができるので、近くに植えると間違える可能性があります。
地植え、鉢植えする場合は、野菜を育てている場所とは違う場所で育てるか、絶対に間違わないようにネームプレートをするなど工夫をしてください。
コルヒチンは痛風の薬に利用されたり、種なし果樹や植物を作る際に利用されたりと良い側面もあります。
しかし、それは専門家がわずかな量を処方してこそです。

3倍体の種なしスイカは、コルヒチンを利用して生まれたものとして有名です。
コルチカムに含まれるコルヒチンを、摂取すると間違いなく毒性を発揮して危険な状態になります。
絶対に口にしないように注意してください。
小さなお子さんやワンちゃん猫ちゃんのペットがいる場合は、手の届かないところで楽しみましょう。
口にした場合は、すぐに病院に連絡して指示を仰いでください。
コルチカムの花言葉
コルチカムの花言葉は以下の6つです。
1:私の最良の日は過ぎた
2:危険な美しさ
3:悔いなき青春
4:永続
5:楽しい思い出
6:頑固
コルチカムの花言葉の半分は、過去の出来ことや思い出を表しています。
それは、夏の楽しかった思い出に浸るかのように秋に花が咲く様子から名付けられているのでしょう。
危険な美しさというのは、コルチカムが美しい花を咲かせつつも毒性があることが由来です。

永続や頑固という花言葉の由来はわかりませんが、球根でどんどん増えていく様子や大きな球根が由来となったのでしょうか?
コルチカムの育て方や、毒性、花言葉がわかると、コルチカムには種類があるのかなと気になりませんか。
コルチカムにはどんな花があるのかお話しします。
コルチカムの種類
コルチカムには約60種の原種が存在していますが、
一般に、コルチカム・アウツムナレ種とコルチカム・スペキオスム種の園芸品種が多く普及しています。
その一部を紹介します。
ザ・ジャイアント

大輪一重咲きの紫桃色花のコルチカム。園芸店で見るコルチカムはこの品種が多いです。たなーもザ・ジャイアント育ててますよ。
ウォーターリリー

ピンク系の豪華な八重咲きのコルチカム。花が睡蓮のような美しさのためウォーターリリーと名付けられており、八重咲きの代表的な品種です。放射状に広がる花びらが美しい。
バイトピオラム

あまり園芸店などでは見かけないバイトピオラム。紫がかったピンクの可愛らしい花を咲かせます。花色としべの黄色のコントラストが素敵です。
クッペリー

クッペリーも園芸店ではなかなか見られない種類のコルチカム。花は小さめだが白にピンクのラインが入る花は非常に変わらしいですよね。クッペリーは春咲きのコルチカムです。ランナーで増えるのも特徴的。
オータムナーレアルバ

コルチカムの純白花品種。澄んだ白い花は花軸も美しく惚れ惚れしてしまいます。私が園芸店時代は取り扱いがありましたが、最近はあまり見かけないような気がします。。こちらの品種は楽天では見つからなかったので、購入はYahooショッピングで。
まとめ
最後に
いかがでしたでしょうか。
コルチカムの育て方や毒性、花言葉、種類までお話しさせていただきました。
どんな花なのか、その魅力と危険性が伝わればうれしいです。
コルチカムは、海外では「裸の貴婦人」とも呼ばれています。
花ももちろん美しいのですが、たなーとしては花芽が上がって蕾が開く前の花軸部分がとても美しい女性を思わせるのだと思います。
サフラン同様に土に植えることなく花を咲かせることができるので、球根に顔を書いて遊ぶこともできます。
おはようございます🍀
— たなー|植物ブロガー&ライター (@tana_3930) September 3, 2022
コルチカム。
サフラン同様、購入したばかりの球根であれば、土に植えずにほったらかしで花が咲きます😲
別名、イヌサフランとも言いますがこちらは、食用にはなりません。むしろ、全草にコルヒチンを含んでいるので、絶対に口にしないでください💦
増えたジトメーズ🤣 pic.twitter.com/x7B68YoLAa
顔を書くと、「裸の貴婦人」という呼ばれ方が残念に思えてしまいますが、楽しみ方の一つとしておすすめです。
ちなみに、コルチカムには球根底部に2つの突起があります。
この部分は生長点であり、花芽が出てくる部分なので傷つけないようにしてくださいね。
それでは、可愛いコルチカムの花を楽しみながら良きグリーンライフを過ごしましょう。
同じ秋植え球根サフランについて気になる方は、こちらを参考に。
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