こんにちは。
たなーです。
いきなりですが、宿根草のワイルドスカビオサをご存じでしょうか。

花屋さんで見るスカビオサと違うの??
花付きの苗としてよく見るスカビオサはこちら。

スカビオサ
花壇や、寄せ植えに大活躍するスカビオサ。
可愛らしい姿で女性人気もあるお花です。
では、こちらがワイルドスカビオサ(クナウティア)。

ワイルドスカビオサ(クナウティア)

。。。え?同じ花じゃないの?
似てるから育て方も一緒だよね?
ワイルドスカビオサことクナウティアは、スカビオサとそっくりの花ですが属名が違い、分類上では違う植物になります。
スカビオサの仲間として扱われますが、性質や育て方が違うんですよ。
この記事を読むことで以下のことがわかります。
それでは順を追ってお話しします。
クナウティアとは?

クナウティア・アルベンシス
クナウティアはスカビオサに非常に似た植物です。
花をパッと見ただけでは違いが分かりにくいほど。

花弁の形をよく見ると、わずかに違いがあるのですが気にする方は少ないでしょう。
スカビオサには様々な品種があり、日本では日本原産のマツムシソウが有名です。
クナウティアは、そのマツムシソウともそっくりですが
クナウティアはクナウティア属
マツムシソウをはじめとするスカビオサはスカビオサ属
と、属名が違います。
さて、クナウティアとマツムシソウが似ていることが分かったところで、クナウティアの基本データを見てみましょう。
クナウティアの基本データ
植物名 | クナウティア |
学名 | Knautia |
科名/属性 | スイカズラ科/クナウティア属 |
原産地 | バルカン半島、地中海沿岸 |
草丈 | 40~100㎝ほど(品種による差が大きい) |
分類 | 宿根草(耐寒性多年草) |
花色 | 赤、紫、ピンク |
耐暑性 | 強い |
耐寒性 | 強い |
開花期 | 5~10月 |
※以前はマツムシソウ科でしたがAPG分類によってスイカズラ科になっています。
スカビオサとクナウティアの違いは?
スカビオサとクナウティアの違いは、属名にありますがそれ以外では、
〇草丈
〇耐寒性耐暑性の強さ
〇病害虫の強さ
〇花の作り
が、あります。
基本的には、クナウティアは草丈が高いです。
しかし、品種によって差があり矮性品種の場合40㎝ほどなので、よく見るスカビオサとの違いが分かりにくいでしょう。
さらに、スカビオサにも草丈が高い切り花品種があるため、この違いはほとんどなくなってきていると思います。
クナウティアは、暑さ寒さ病害虫にスカビオサよりも強く育てやすい特徴があります。
これは、クナウティアがワイルドスカビオサという別名があることからも想像ができますね。
そのため、初めてガーデニングをする方にもおすすめなお花です。
スカビオサの花は、花の中心部には筒状花が集合します。

スカビオサ
しかし、クナウティアの代表的な品種。
クナウティア・マケドニカには、この中心部の筒状花がありません。

クラウティア・マケドニカ
このクラウティア・マケドニカは赤色以外にも薄紫色の花もあります。
別名としてアカバナマツムシソウとも呼ばれているので、スカビオサなのかなと思ってしまいますがクナウティアなんですよ。

紛らわしいですね。。。
このように、クナウティアとスカビオサは花の筒状花で見極めができると言えます。
ただし、この筒状花は品種によって差があるので、見極めが難しい場合もあるでしょう。
クナウティアは宿根草?
クナウティアは宿根草または耐寒性多年草とされていますが、他の宿根草に比べると比較的短命な植物です。
そのため、花が咲き終わった後は種を収穫しておくことがおすすめ。
種まきについては、後ほど紹介しますね。
せっかく可愛らしい花を咲かせてくれるので、いつの間にかなくなっていた。。
なんてことがないようにしたいですね。
しかし、クラウティアは植えた環境になじむとこぼれ種で増えていく強さも持っています。
ナチュラルガーデンやイングリッシュガーデンに相性の良い花なので、ぜひ植えてみてくださいね。
それでは、気になるクラウティアの育て方についてお話しします。
クラウティアの育て方
日当たりと置き場所
クナウティアは日当たりを好みます。
鉢植え、地植え共に日当たりの良い環境で育てましょう。
夏の日差しにも負けないので、地植えはほったらかしで問題ありません。
鉢植えの場合は、水切れした状態で強い直射日光に当たり続けると枯れる恐れがあるので、注意が必要です。
用土
クナウティアはアルカリ性気味の土を好みます。
そのため、地植えの場合は苦土石灰やカキ殻や貝化石が原料の有機石灰を多めに撒いて、土の酸度を調整すると育ちやすいです。
鉢植えの場合は、市販の園芸用のお花の土で問題なく育つので安心してください。
土が酸性の場合、うまく育ちません。
酸性の土を好む植物(ブルーベリー・サツキ・ツツジ・リンドウなど)とは、土の相性が悪いので近くには植えないようにしましょう。



市販の園芸用土は中性~弱アルカリ性なので問題なく育ちます。苦土石灰や有機石灰であれば、撒いてすぐに植え付けができます。こちらのカルシウム肥料(貝化石)は果樹だけでなく、多くのアルカリ性を好む植物に使いやすい粒状タイプ。
肥料
クナウティアは肥料をあまり必要としません。
地植えの場合は、他の植物が花を咲かせているのであれば無肥料で大丈夫なほどです。
鉢植えの場合は、植え付けや植え替えの時に長期間ゆっくり効く緩効性肥料を規定量土に混ぜ込む程度で十分です。
もし、土に混ぜ込んでいない場合は、春と秋に置き肥をしてあげましょう。

混ぜ込むタイプなら、マグァンプKに殺虫成分も入ったマグァンプDが便利。鉢花への置き肥ならプロミックの草花・鉢花用を春と秋に与えるのがおすすめ。少し形が崩れてきたら取り除いてね。
水やり
クナウティアは多湿を嫌うため、水のやりすぎに注意してください。
成長期の春~秋は土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れるくらいにしっかり水やりをします。
ただし、受け皿に水を溜めていると根腐れの原因になるので、小まめに捨てることが上手な育て方のポイント。
夏の暑い時期の水やりは、涼しい早朝や夕方に水やりをしてください。
気温の高い時間帯に水やりすると、鉢の中で根が煮えてしまうので注意が必要です。
地植えの場合は、植え付け直後と夏の雨が降らない時期にだけの水やりで大丈夫なので安心してくださいね。
植え替え・植え付け
4~6月の春、10~11月の秋が植え付けの適期ですが、真夏と真冬以外であれば基本的にいつでも問題ありません。
鉢植えは1年に1度植え替えをしてあげましょう。
花壇など地植えする場合は、草丈を確認して植えつけることが肝心です。
クナウティアは、品種によって草丈に差があります。
植えつける品種が将来どのくらい大きくなるのか確認しておきましょう。
草丈が大きくなるものは、倒れないように支柱やフラワーガードなどをしてあげると良いですよ。


お庭や花壇の風景を邪魔しないシンプルなフラワーガードは、草丈が大きくなる植物を綺麗に支えてくれる優れものです。
剪定
クナウティアの剪定は、とても簡単。
花後の花茎を剪定しましょう。
そのままにしていると、種を作り花が咲きにくくなります。
そのため、小まめに剪定することでたくさんの花が咲いてくれるんですよ。
もし種を取る場合は、秋終わりの花を残して種ができたときに一斉に収穫すると良いでしょう。
また、クナウティアは切り花としても非常に優秀。
その可愛らしい姿から小瓶やおしゃれな花瓶まで、様々な容器におしゃれに飾り付けることができます。
一緒に植えているお花と活けて楽しむのも素敵ですね。
使いやすい剪定ハサミを探してる方はこちらも参考に。
病害虫
クナウティアには、特別目立った病害虫の被害はありません。
そのため、ガーデニング初心者にも嬉しい宿根草です。
どんな植物でも発生しやすいアブラムシなどに気を付ければ、病害虫には悩まされることは少ないでしょう。

病害虫対策としてベニカXガードやベニカXネクストスプレーを準備しておくと良いですね。
ベニカXネクストスプレーについてはこちら。
夏越し
クナウティアは暑さや乾燥に強いので、夏越しのための育て方に工夫は必要ありません。
鉢植えの場合は、土の乾燥が早くなるので水切れに注意してくださいね。
冬越し
クナウティアは寒さにも非常に強いです。
最低温度-10~-20℃まで耐えるほど。
秋の花後の種子を収穫したら、株元で茎をバッサリ切っておきましょう。
クナウティアは暖地であれば、常緑の状態で冬を越します。
関東以北では、半常緑または葉がすべて枯れることも。
しかし、根は生きているので安心してください。
春になると株元から次々と花芽が出てくるんですよ。

冬はロゼット葉と言って、地際付近に広がる葉の状態になります。
通常の生育なので安心してくださいね。
鉢植えで土の中が凍結する恐れがある地域では、寒風が当たらない場所に移動させたり二重鉢にしたりと根の凍結を防ぐことが上手に冬越しをさせる育て方のポイントです。
クナウティアの増やし方
クナウティアは「種まき」「株分け」で増やすことができます。
クナウティアの種まき
クナウティアは花終わりに種を付けます。

クナウティア 花終わり
このような状態から種が成熟すると、花茎を切って振るうと簡単に種が収穫できます。
種の収穫は簡単に行えますが、種まきにはポイントがあるんですよ。
クナウティアの種は、低温要求性種子。
つまり、種が発芽するためには長期間の低温に当てる必要があります。
そのため、春から夏にかけて収穫した種をすぐに撒いても発芽しません。
秋に種まきをして、冬を経験することで春に発芽します。

発芽適温は15~20℃ほど。
秋に種まきして、冬の間は暖かい場所に置いていると発芽しないこともあるので注意が必要です。
花壇に直接撒いておく場合は、秋に撒けば問題ありません。
しかし、ポットや育苗箱に種まきする場合、冬は屋外に置いておきましょう。
もしくは、収穫した種を封筒や不識布パックに入れて1か月~2か月保管しておくと冬を経験したと勘違いして発芽しやすくなります。

一定期間の環境条件を経験させたり植物ホルモンに反応したりすることで、種の休眠が解けることを休眠打破と呼びます。
休眠打破された種を撒くか、種まき後に休眠打破される環境に置けば、クナウティアの発芽は簡単です。
種まきは小粒の赤玉土や種まき用の土にしましょう。
薄く土を被せて、種が流れないように優しく水やりします。
後は土が乾かないように明るい日陰で管理してください。
休眠打破した種であれば、発芽温度15~20℃で2~3週間もすれば発芽しますよ。
発芽後、本葉3~4枚になったら3号(直径約9㎝)ポットに植え替えて育苗しましょう。
根がポットの下から出てくるくらい回ったら、植え付けすると良いですよ。
注意点として、種から花が咲くのは翌々年の春からになります。
つまり、種まき後1年間は花が咲かない状態があるんです。
そのため、前もってクナウティアの種は収穫して育てておくと良いでしょう。
クナウティアの株分け
クナウティアは種まきだけでなく、株分けも可能です。
ただし、種まき1年後の苗や購入したばかりの開花株は株が小さいので株分けはしない方が良いでしょう。
株分けは早春のロゼット葉状態のクラウティアを掘り上げて、株についている新芽と根が付いているようにハサミで切り分けます。
大きな株でなければ、ロゼット葉からの複数の芽と根がうまく切り分けられません。
小さな苗で行うと、枯れる恐れがあるので控えてくださいね。
時間がかかっても種まきをするか、新しく苗を購入する方が安心です。

育て方や増やし方がわかったところで、たなーおすすめの品種を紹介します!
おすすめのクナウティア3品種

うなじも美しい
たなーおすすめのクナウティアは以下の3品種。
〇クナウティア・アルベンシス
〇クナウティア・マケドニカ・レッドナイト
〇クナウティア・サンダー&ライトニング
それでは、順を追ってご紹介!
クナウティア・アルベンシス


西洋マツムシソウとして出回るクナウティア・アルベンシス。
とても涼し気な色彩が特徴です。ホワイト、ピンク、パープルとの相性が良くてローズガーデンにもおすすめ。育て方としては放任でOK!こぼれ種でも増えやすいです。たなーとしてはクナウティアと言えばこの子のイメージが強いですね(笑)
クナウティア・マケドニカ・レッドナイト

主にアカバナマツムシソウとして出回るクナウティア・マケドニカ・レッドナイト。
可愛らしくも目を引く赤色は、お庭のアクセントになります。濃い赤色はお庭全体を引き締めて、おしゃれな雰囲気を一層高めてくれるでしょう。
ちなみに、マケドニカはヨーロッパの火薬庫で有名なバルカン半島のマケドニア近郊が原産地であることが名前の由来です。
クナウティア・サンダー&ライトニング

クナウティア・マケドニカの矮性斑入り品種。
草丈は30~50㎝ほど。
花がない時期でも、クリーム色の斑入り葉をカラーリーフとして楽しむことができます。
他のクナウティアよりも草丈が低めなので、花壇の手前から中央で葉と花のコントラストを楽しみたいですね。
斑入り葉の品種は他品種よりも葉焼けと蒸れが生じやすいので、育て方としては風通しと日当たりを少し気を付けてあげる必要があります。
まとめ
最後に
いかがでしょうか。
クナウティアの育て方と増やし方、おすすめ品種について紹介させていただきました。
地中海沿岸原産の植物は、比較的日本の暑さに弱いものが多いのですが
このクナウティアは暑さにも強いので、イングリッシュガーデンでとても活躍します。
花色や花姿も、バラやクレマチスとの相性が良いので、ぜひお庭に仲間入りさせてほしい子です。
切り花用の高性スカビオサと一緒に、お家の中で花瓶に飾ってもすごく素敵な雰囲気になります。
また、花後はユニークな姿をしていましたね。
種まき用の種子収穫後は、ドライフラワーにして楽しむのもおすすめです。
それでは、スカビオサに似ている宿根草クナウティアを育てて良きグリーンライフを過ごしましょう。
宿根草の庭作りが気になる方はこちらも参考に。
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