こんにちは。
たなーです。
暑い夏は、見た目にも涼しい花で癒されたいですね。
しかし、花が少ない時期でもあります。
そんな暑い時期にも負けないで、涼しげな花を咲かせる植物があることをご存じでしょうか。
キキョウです。

キキョウって、秋の七草に数えられるキキョウ?
花は秋じゃないの?

確かにキキョウは秋の七草としても有名ですが、花は初夏から楽しめるんですよ。
ということで、
この記事を読むことで以下のことがわかります。
それでは、順を追ってお話しします。
キキョウの基本情報
学名 | Platycodon grandiflorus |
英名 | balloon flower |
和名 | 桔梗 |
別名 | 岡止々岐(オカトトキ) |
科/属 | キキョウ科キキョウ属 |
原産地 | 日本、中国、東アジア |
花色 | 青、紫、白、ピンク、複色 |
耐寒性/耐暑性 | 強/強 |
耐暑性 | 弱 |
開花期 | 6~10月 |
キキョウの育て方
キキョウは日本に古くから自生する植物なので、日本の高温多湿の環境にも強く育てやすい宿根草です。
以前は、日当たりの良い野原や手入れの行き届いた里山のような場所でよく見ることができました。
現在では、開発が進んだことで自然のキキョウは激減。
絶滅危惧種Ⅱ類に指定されているほどです。

キキョウの園芸品種は多く生まれていますので、今ではなかなか見ることのできないキキョウを育てて季節を感じましょう。
それでは、気になるキキョウの育て方についてお話ししますね。
日当たり
キキョウは日当たりと風通しの良い環境を好みます。
基本的には半日以上、直射日光に当たる場所で育てましょう。
日陰や室内では花が咲かなくなるので注意が必要です。
ただし、真夏の直射日光は葉焼けの原因になるので、夏場は遮光してあげたり、鉢植えは日陰に移動させたりすると順調に育ちます。

キキョウの花はとても可愛いので、つい室内で観賞したくなります。
2~3日間は良いですが、室内でずっと育てることは難しいです。
用土
キキョウは有機質に富んだ水はけのよい土を好みます。
市販のお花用の土で十分に育つので安心してくださいね。
上手に育てるポイントとして、弱酸性の土を好む性質があることから植え付けの時に、酸性用土である鹿沼土や未調整ピートモスを1~2割混ぜ込むとさらに生育が良いですよ。
そのため地植えの場合は苦土石灰は混ぜ込まず、腐葉土などのたい肥をしっかり漉き込んで植えることがポイントになります。
水やり
基本的には、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れるくらいに水やりをしましょう。
鉢植えで受け皿をしている場合は、溜まった水は小まめに捨てることがポイントです。
水をそのまま溜めていると根腐れの原因になります。
また、キキョウは過湿を嫌うので生育にも良くありません。
水やりはたっぷりと行いますが、乾燥気味に育ててあげることが失敗しない育て方です。

そんなこと言われても、水やりの加減がわからない。。。


そんな時は、一目で土の乾燥がわかる水分チェッカー“サスティー”が便利です。
水やりに苦労する場合は、ぜひ使ってみましょう。
地植えの場合は、植え付け直後と極端に雨が降らない夏を除いて、基本的に水やりは必要ありません。
冬は地上部の葉や茎は枯れていますが、地下部の根は生きています。
冬に水やりを行うと、凍結や根腐れの恐れがあるので注意してください。
そのまま植えっぱなしで大丈夫です。
植え付け・植え替え
キキョウは6~10月頃に園芸店などで花付きの苗として手に入れることができます。
宿根草なので、地上部がない状態で1~3月に販売されている場合もあるでしょう。
本来は、2~3月の芽出し前に植え付け、植え替えを行うのがベストです。
しかし、花付きの苗で購入した場合は、すぐに鉢や花壇に植え替えてあげてください。
ポットから抜き出した根鉢が固まっていない限りは、根は極力触らずに植え替えることがポイント。
キキョウの根は直根性(ちょっこんせい)なので、太い根が傷むと枯れる恐れがあるからです。

直根性。。。?

文字通り、根が地中に枝分かれせずにまっすぐ下に伸びる性質です。
そのため、太い根が傷つくと根の成長が止まり生育が悪くなります。
キキョウは直根性の性質を持つので、鉢植えの場合は浅い鉢よりも深い鉢の方が生育がいいんですよ。
地植えの場合は、水はけをよくする意味でも20㎝ほど盛り土をして植えると良く育ちます。
園芸店などで購入した苗の根鉢が固まっている場合は軽くほぐしますが、キキョウの根は生育が非常に早いので、ほぐせないほど固まっている場合もあります。
そんなときは、鉢底面の細い根で固まった部分を十字にハサミで切れ込みを入れて植えつけましょう。
キキョウは根の生育が早いので、鉢植えの場合は1年に1度植え替えると生育が非常によくなります。
肥料
キキョウは肥料を好みます。
植え付けの時に、長期間ゆっくり効く緩効性肥料を土に規定量混ぜ込んでおきましょう。
また、夏から秋まで花が咲くので、開花する6~10月は週に1回、即効性のある液肥を水に溶かして水やり代わりに与えると花付きがさらに良くなります。



緩効性肥料としては、殺虫成分入りのマグァンプD。即効性肥料としては微量要素豊富なトップクオリティの開花促進が使いやすくて効果的。有機肥料にこだわりがある方は、サカタのタネのネイチャーエイドも良いでしょう。いずれも、たなーが実際に使ってみて効果を実感している肥料です。
キキョウは肥料を与えると花がたくさん咲くようになりますが、その分枝葉や茎が太くなりやすいです。
野草としての楚々とした美しさとはかけ離れる場合があるので、その点は好みによって育ち方を見ながら肥料の与え方を調整してくださいね。
病害虫
キキョウに発生しやすい病害虫は以下の通りです。
アブラムシ
どの植物にも発生しやすい吸汁性害虫。
柔らかい新芽や枝葉に付きやすく、大発生すると植物の成長が著しく悪くなります。
日頃の観察を良く行い、見つけ次第取り除きましょう。
ハダニ
乾燥していると発生しやすい吸汁性害虫。
大きさも目でやっと見えるくらいに小さく葉の裏に発生しやすいため、なかなか見つけにくいです。
初期症状は、葉の色が薄くなり始め擦れたような葉になります。
ダニと名前が付いていますがクモの仲間なので、大発生すると植物に糸を張るんですよ。
クモの糸が目立つようになって気づくこともありますが、その場合は植物はかなり弱っているので、切り戻して殺ダニ剤などお薬で対処することが重要になります。
ハダニは多湿を嫌うので、予防として乾燥している時は水やりの時に霧吹きで葉水をすると良いでしょう。
葉水の効果と霧吹きについてはこちら。
クロウリハムシ
オレンジ色の頭に、黒い羽根を持った1㎝に満たない甲虫です。
ウリ科の植物の葉を好んで食害しますが、そのほかの植物の葉も食べるため注意が必要になります。
ウリ科の雑草を引き抜いて除草しておくことで発生の予防はできますが、飛来してくるので浸透移行性の薬をあらかじめ撒いておくと良いでしょう。
立ち枯れ病
立ち枯れ病はカビの一種が原因で発生する病気です。
初期症状は、生育が悪くなり葉が黄色くなります。
その後、徐々に枯れたような状態になり、地際部分の茎が黒く腐って枯れるんですよ。
立ち枯れ病の原因であるカビは、土が常に湿っているような多湿環境で増殖しやすくなるので、水やりや土の水はけに特に注意してください。


おすすめのお薬はベニカシリーズですが、病害虫に対して同じ薬を連続して使用すると抵抗性が付いて次第に効き目が悪くなります。そのため、複数のお薬を交互に使うなどの工夫が必要です。特にハダニは薬の抵抗性を持ちやすいので、気を付けましょう。立ち枯れ病には、オーソサイド以外にダコニールやベンレートも有効です。
ベニカネクストスプレーについてはこちら。
キキョウの夏越し
キキョウは、暑さに非常に強い植物なので安心して育てることができます。
しかし、近年では日本の夏は酷暑になってきているので、真夏の直射日光は避けて明るい日陰に移動させた方が良いでしょう。
地植えの場合は、寒冷紗などで遮光するなどの工夫も必要です。
雨が降らない場合は、水切れに気を付けてくださいね。
キキョウの冬越し
キキョウは-10℃でも耐えるほど寒さに強い植物です。
そのため、関東以西では基本的に外に植えっぱなしで大丈夫でしょう。
冬は地上部の枝葉は枯れてしまいますが、根は生き残っています。
強霜が当たったり雪が降り積もったりして、凍結が不安な場合は植わっている場所に腐葉土や稲わらでマルチングをしておくと良いです。
鉢植えは寒風が当たらない軒下に移動しておきましょう。
キキョウの冬越しは、植えっぱなしで根が凍結しないようにすれば、関東以北でも冬越しは問題ありませんよ。
東北~北海道では、地植えの場合は鉢植えに植えなおして室内に移動させた方が安心です。
キキョウの切り戻し
通常のキキョウの開花は6月頃から咲き始めます。
夏頃まで咲き続けますが花が咲き終わると種を付けやすいので、花終わりは小まめに取り除きましょう。
花終わりをそのままにしておくと種を付けて、そちらに栄養が集中して花付きが悪くなるので種を取る目的がない場合は、花終わりはすぐに取り除いてくださいね。
キキョウは次々に咲きますが、7月~8月頃に一旦花が咲き終わるタイミングがあります。
そのタイミングで草丈の1/2~2/3を思い切って切り戻しましょう。
そうすることで、切り戻した茎から脇芽が出てきて秋には綺麗に咲き戻ります。
切り戻した後に、しっかりと肥料を与えておくと秋の花付きがさらに良くなるんですよ。
花終わりを取り除くときや切り戻しの時に、キキョウから白い乳液が出てきます。
肌が弱い方が、この乳液に触れると肌荒れの原因になることもあるので注意してください。

女性はガーデングローブをしてキキョウを切り戻しましょう。


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キキョウの増やし方
キキョウの増やし方は以下の3つの方法があります。
挿し芽
5~6月にキキョウの新芽を10㎝ほど切り取り挿し穂として、挿し芽することで増やすことができます。
土は挿し芽挿し木用の土や肥料分の入っていない小粒の赤玉土、バーミキュライトに深さ5㎝ほどの穴をあけて優しく植えてください。
葉は水分の蒸発を防ぐために半分に切っておくと、挿し芽が成功しやすくなるでしょう。
優しく植えた後は、水切れがないように明るい日陰で管理しておくことで、1か月ほどして新芽と根が出てきます。
葉が4~5枚ほど出たら、植え替えて通常通り育ててあげてくださいね。
株分け
キキョウは地上部の枝葉が枯れた後、2~3月に地下部分の根を株分けすることができます。
球根のようになった太い根の塊が自然に割れていれば、そのまま分けて植えなおすだけで増やすことができるんですよ。
割れていない場合は、根から出てきている芽を見ながら、ハサミで切り分けましょう。
あまり細かく切り分けないことがポイントです。
切り分けた部分から病原菌が入らないようにゆ合材を塗ると、その後の生育が良くなります。

樹木や花木などの剪定後に、役立つ殺菌効果のあるゆ合材トップジンMペーストは、球根や根にも使えます。
種まき
キキョウは種を付けやすい植物なので、花終わりを切り取らずそのままにしておくと、種を収穫することができます。
収穫した種は、封筒やお茶の不識布などに入れて冷蔵庫などの冷暗所に保存しましょう。
2~4月に種まき用の土や小粒の赤玉土、バーミキュライトに種を撒いて軽く土をかぶせて乾燥しないように管理します。
この時に、勢いよく水やりすると種が流れてしまうので、底面吸水や霧吹きで優しく水やりをしてくださいね。
本葉4~5枚になったら、3号ポット(約直径9㎝)くらいの鉢に植え替えてあげましょう。
その後は日当たりの良い場所で育ててくださいね。

キキョウに限らず宿根草を種から育てると1年目はあまり花は咲きません。
2年目、3年目でやっとたくさんの花を咲かせてくれるので、種から育てる場合は気長に待ちましょう。
キキョウの花言葉
キキョウの花言葉は、以下の通り。
永遠の愛
変わらぬ愛
気品
誠実
さらに、白いキキョウのみ「清楚」という花言葉を持っています。
これらの花言葉は、まさに楚々としたキキョウそのものを表しているんですよ。

キキョウは漢字で書くと、「桔梗」。
「更に吉」とも読めることから、縁起の良い植物です。
花言葉以外に、漢字にすると未来を明るくしてくれるような意味を持つので、プレゼントにも喜ばれますね。
ここから先は、たなーおすすめのキキョウのおすすめ品種3選です。
キキョウの品種紹介

キキョウ“アストラシリーズ”は、たなーが園芸店勤務の時に実際に花壇や鉢に植えていました。
矮性品種で育てやすいのはもちろんですが、2年目、3年目のパフォーマンスがずば抜けてます!
1年目の2倍~3倍の花付き、さらに3年目になると数えきれないくらいに花が咲くので驚くこと間違いなしです。地植えの場合は水はけをよくする工夫が必要なので、鉢植えの方が高パフォーマンスになりやすいでしょう。

北海道のアポイ原産のキキョウの園芸品種です。こちらも矮性品種で鉢植え向き。
耐寒性耐暑性が特に強く育てやすいです。白い花弁に走る紫の脈が魅力的。
矮性品種の代表的な品種ですが、山野草的に育てると良いでしょう。

おもてなしキキョウシリーズは、東京オリンピック開催に向けて選抜育種されたキキョウです。そのため、たなー自身はこちらのキキョウを育てたことはありません。しかし、八重咲きで切り花としても使用でき、ナチュラルガーデンにもおすすめできるキキョウだと感じましたのでここでご紹介します。
まとめ
最後に
いかがでしょうか。
キキョウの育て方についてお話しさせていただきました。
自生しているキキョウは、現在ではなかなか見かけることのできなくなった植物です。
しかし、昔から愛されており万葉集にも登場していたり、家紋のモチーフとしても使用されたりしています。
古典植物として昔から育種が盛んだったこともあるので、日本の自生種が絶滅の危機にあるのは悲しいですね。
野原では見かけなくなりましたが、園芸品種としては様々な品種があります。
キキョウは花言葉も素敵でその見た目の可愛さから人気がありますが、たなーが園芸店勤務時代は意外とうまく育てられなかったという方が多い印象でした。
話を聞くと、日当たり不足や土がアルカリ性、水のやりすぎが原因と考えられることがほとんど。
つまり、それらの点さえ気を付ければキキョウの育て方は簡単です。
ぜひ楚々とした美しいキキョウを育てて、お庭を涼しげに彩ってみませんか。
それでは、キキョウを育てて良きグリーンライフを過ごしましょう。
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