こんにちは。
たなーです。
秋のお彼岸も終わり、涼しくなってきましたね。
お彼岸の時期になると、田んぼやあぜ道で、彼岸花(ヒガンバナ)を見る方も多いのではないでしょうか。
彼岸花は、名前の通りお彼岸の時期に合わせるかのように咲くお花ですが、いろんな魅力がある植物です。
この記事を読むことで以下のことがわかります。
それでは、順を追ってお話ししますね。
彼岸花の育て方
彼岸花は育てやすい球根植物で、土手や畦道(あぜみち)で群生して見かけることが多いですね。
そんな彼岸花ですが、上手に育てるにはポイントがあります。
日当たり
彼岸花は日当たりの良い場所でよく育ちます。
半日陰のような場所の場合でも育ちますが、開花時期が遅れることがあるんですよ。
そのため、日当たりの良い場所では、一斉に彼岸花が咲いているけど、木陰のような場所では少し遅れて咲く彼岸花を見かけることも多いでしょう。
用土
基本的にはあまり土を選びませんので、鉢植えの場合は園芸用のお花の土で良く育ちます。
地植えの場合も同様ですが、球根植物なので水はけが極端に悪いと腐る恐れがありますので、腐葉土や小粒の軽石などを混ぜて、水はけが良いように土壌改良しましょう。
水やり
彼岸花は乾燥に強い植物なので、基本的に土がしっかり乾いてからたっぷり水やりをしましょう。
鉢の下に受け皿をしている場合は、溜まった水は根腐れの原因になるので、こまめに捨ててくださいね。
地植えの場合は、ほったらかしで自然の雨で元気に育ちます。
肥料
彼岸花はあまり肥料を必要としません。
植え付けの時に、リン酸の多いゆっくり効く緩効性肥料を土に規定量混ぜ込んでおきましょう。
花が終わり、葉が出てくる冬から春に、カリの多い肥料を与えてあげると、球根が大きくなり、来年により良い花が咲くようになります。

リン酸が多い緩効性肥料はハイポネックスさんの長年のベストセラーのマグァンプKがおすすめ。宿根草や植えっぱなし球根には大粒が良いですよ。

カリは根や球根を大きく育てる成分です。冬から春と短い間しか葉が茂らないので、即効性のあるこちらの硫酸カリがおすすめです。もちろん、根菜類などの野菜にも。
病害虫
彼岸花には目立った虫は付きませんので安心してください。
しかし、病気として軟腐病(なんぷびょう)が発生することがあります。
この軟腐病は細菌性の病気です。
土の中にいる軟腐病菌が植物内に傷口から侵入し、繁殖することで養分の通り道を塞いで成長を妨げると同時にその部分から腐っていきます。
細菌性の病気は治療が非常に難しいです。
そのため、発生した場合はすぐに抜き取り処分したほうが良いでしょう。
軟腐病細菌は、どこの土の中にもいるので、完全に防除はできませんが、雑草の根の近くにいることから、雑草をこまめに取り除くことがおすすめです。
また、植物に窒素を与えすぎると、植物組織が軟弱になり細菌の被害に合いやすくなるので、その点にも気を付けましょう。

細菌性の病気のお薬にはストマイ液剤20が効果的なので、予防として散布しておくと良いですね。
増やし方
赤い彼岸花は、種ができないため種子を収穫することはできません。
そのため、球根を分球して、8月までに再び植えて増やす必要があります。
彼岸花の球根は増えやすいので、休眠期の初夏に掘り起こし分球することで簡単に増やすことができるので安心してください。
黄色などほかの色の彼岸花は種で増やすことが可能ですが、分球して増やしたほうが簡単です。
種で増やす場合は、秋の花後に種子を収穫して、早春に種まきすると良いでしょう。
彼岸花の別名
彼岸花にはたくさんの別名があることをご存じでしょうか?
彼岸花と聞くと怖い印象がありますが、別名で聞くとまた違った印象になりますよ。
その一部をご紹介です。
リコリス
最近では、彼岸花のことをリコリスと表記していることも多くなっているのでご存じの方も多いのではないでしょうか。
この名前は、赤色の彼岸花の学名であるLycoris radiata(リコリス ラジアータ)のリコリスから来ています。
そのため、他の色の彼岸花の球根をリコリス(白)やリコリス(黄)と表記して販売しているところもあるんですよ。
曼殊沙華(まんじゅしゃげ)
こちらの名前は、仏教に通じている方には特に聞きなじみのある方も多いかもしれません。
曼殊沙華とは、サンスクリット語で「天界に咲く花」という意味です。
おめでたい事が起こる兆しに赤い花が天から降ってくる、という仏教の経典から来ています。
死人花(しびとばな)、地獄花(じごくばな)、幽霊花(ゆうれいばな)
彼岸花はお彼岸の時期、あの世とこの世がつながりやすい時期に咲きます。
また、この花には毒があり、モグラやネズミなどを寄せ付けないために、土葬された場所に植えられていた歴史(江戸時代以前)もあり、お墓の周囲に彼岸花の花が咲くことからこのような別名も付けられているんですよ。
レッドスパイダーリリー、ハリケーンリリー
赤い彼岸花の学名がLycoris radiata(リコリス ラジアータ)に対して、赤い彼岸花の英名はRed spider lily, Hurricane lilyになります。
そのため、別名として、レッドスパイダーリリー、ハリケーンリリーとも呼ばれるんですよ。
ちなみに、スパイダーリリーだけだと、ヒメノカリスという別の植物の別名になりますので混合しないように気を付けましょう。

その他にも、毒を持つことから「毒花」とストレートな表現の別名もあったり、花と葉が同時に出てこないことから、「葉見ず花見ず」とも言われることもあります。
彼岸花の種類
彼岸花というと赤色を思い浮かべる方が多いと思いますが、赤色以外にも多くの種類があるんですよ。
赤色も含め、たなーおすすめの品種をご紹介しますね。
リコリス ラジアータ(赤)
学名:Lycoris radiata
もっとも一般的な赤い彼岸花であり、中国が原産です。
いつ日本に渡来して広がったのか詳細は不明ですが、帰化植物として日本でもなじみの深い花になっています。
日本で生育しているラジアータは、3倍体(染色体数が基本数の3倍)。
簡単に言うと、基本的には種はできないということです。
そのため、子供の球根を増やして分球(球根を分けること)で増やしましょう。
リコリス オーレア(黄)
学名:Lycoris aurea
別名でショウキランとも呼ばれ、日本南部~中国が原産地です。
鮮やかな黄色の花が特徴で、花や葉がラジアータよりも大きく豪華に見えます。
温暖な環境を好み、比較的寒さに弱いです。
オーレアは染色体数は2倍体なので、種子で増やすことができます。
リコリス アルビフローラ(白~クリーム色、薄ピンク)
学名:Lycoris albiflora
別名に白花曼殊沙華や白彼岸花などあります。
アルビフローラは、2倍体変異種のラジアータとオーレアの交雑種と考えられており、花や葉の変化が多く表情が豊かな彼岸花です。
花色は、基本的には白色ですが、クリーム色や薄くピンクがかることもあります。

もう染色体とか2倍体とか3倍体とか、よくわかんないんだけど。。。

簡単に言うと、突然変異で種を作れる赤色彼岸花とその近縁種の黄色彼岸花との子供が、白色彼岸花ってことだよ。でも、赤と黄色の子供が白色って面白いよね。
リコリス ジャクソニア(濃いピンク)
学名:Lycoris jacksoniana
別名でリコリス ジャクソニアーナと表記されることもあります。
濃いピンクの花色で、花弁の先は青みがかるとても美しい彼岸花です。
中国原産のリコリス プミラとリコリス スプレンゲリーとの交雑種。
※花弁の先の青みは、気温や紫外線などの環境により、色付かないこともあります。
現在、楽天にてどのショップでも売り切れとなっており、リンクを貼ることができませんでした。ラジアータなどのリンクから調べていただけるとお花の雰囲気がわかります。申し訳ありません。
リコリス スプレンゲリー(ピンク~青)
学名:Lycoris sprengeri
別名としてムラサキキツネノカミソリとも呼ばれます。
リコリス ジャクソニアの親となっている彼岸花で、園芸店ではめったに見ることのない品種です。
ベースの色はピンクですが、ジャクソニア以上に青色が深く入り非常に美しく神秘的な彼岸花なんですよ。
※ジャクソニア同様、気温や紫外線などの要因で青みがからないこともあります。

スプレンゲリーやジャクソニアの球根はネット販売されていますが、すぐに売り切れることが多く入手しずらい品種です。
彼岸花の花言葉
彼岸花には、花言葉が多くありますが、彼岸花のイメージやその特徴から切なく悲しいものが多いです。
色別にご紹介しますね。
赤色の彼岸花の花言葉
情熱、独立、再会、悲しい思い出、想うはあなた一人、また会う日を楽しみに
白色の彼岸花の花言葉
また会う日を楽しみに、想うはあなた一人
黄色の彼岸花の花言葉
悲しい思い出、追想、陽気
ピンクの彼岸花の花言葉
深い思いやり、あなたのためなら何でもします、楽しさ、悲しい思い出

赤色や白色の「また会う日を楽しみに、想うはあなた一人」や黄色の「追想」という花言葉は、葉見ず花見ずとも言われる由来となっている花が咲き終わって、葉が出てくる姿から連想されています。
色のイメージによる花言葉もありますが、全体的に別れをイメージさせる悲しい花言葉が多いですね。
そのため、プレゼントなどに彼岸花は贈らないのが無難でしょう。
プレゼントに向いていないのは花言葉の意味だけではなく、彼岸花には毒があるからです。
続いては、その毒についてお話しますね。
彼岸花の毒について
彼岸花は有毒植物であり、花、茎、葉、球根、根のすべてに毒を持っています。
毒の成分は、リコリン、ガランタミン、セキサニン、ホモリコリンなどのアルカロイドの毒で、特に球根に多く含まれているので注意が必要です。
彼岸花を食べると、吐き気や下痢、中枢神経のマヒ、最悪の場合、死に至る可能性もあります。
花後の葉だけの姿は、ノビルやアサツキなどの野草に似ていることもあり、絶対に間違って食べないようにしましょう。
◇
彼岸花が田畑の土手や畦道(あぜみち)に植えられている理由は、彼岸花の毒性を利用して、ネズミやモグラから稲や野菜を守るためと言われています。
また、土葬の時代には墓地をモグラやネズミから守るため、同様の理由で植えられていました。
彼岸花を口にすることはとても危険ですが、その毒を利用して田畑や墓地を守ってきた歴史があるんですよ。
彼岸花は、田畑や墓地を守るために植えられていた歴史以外にも、救荒作物として人為的に栽培されてきた歴史もあります。
今では、彼岸花の球根を危険を冒してまで食べる必要はありませんが、自然災害など外的要因で食料が確保できない時代は、彼岸花の球根を食用として食べていました。
彼岸花の毒は水溶性なので、球根をすりおろし何度も水にさらして毒抜きをして食べ、飢えをしのいでいたそうです。

今の時代では、彼岸花の球根を危険を冒して食べる必要性がありませんので、絶対に食べないでください。
まとめ
最後に
いかがでしょうか。
彼岸花の育て方や別名、種類、花言葉、毒についてお話させていただきました。
彼岸花は何となく怖いってイメージは、墓地に植えられてきた歴史や、そこからイメージされた別名、そして危険な毒性から来ているのでしょうね。
日本全国の彼岸花が群生する場所は観光スポットになるほどで、たなーは彼岸花の花はとても魅惑的な魅力を持っていると思います。
彼岸花は毒を持っており、口にすると危険ですが、その毒で田畑やご先祖様を守り、飢饉(ききん)の際は、食用として私たちを助けてくれていたと知ると、見方が変わるのではないでしょうか。
最後にもう一度お伝えしますが、間違っても彼岸花を口にするようなことはしないでください!
それでは、美しい彼岸花を楽しみ、良きガーデニングライフを過ごしましょう。
コメント